芦屋の山手の家
 「細雪」を彷彿とさせる古い家並がのこる芦屋がここにはある。敷地は当時の屋敷跡で、古い自然の地形が緑ゆたかな傾斜地をかたちづくる。
 この街並をなるべく壊さないような家づくりはできないものか?と常々傾斜地での住宅づくりでは考えている。斜面の庭には、楠の大木、譲葉、櫨の木、紅葉などがあり、この植生をどうしても残したい。こんな大きな樹は造園工事で植えるのは不可能に近いからだ。
 溺谷のような南北の道路にそった眼下に、芦屋浜までの景色がじつにうつくしい。自然の上に張りだした家をつくりたいと思った。景色のよい庭にむかっては、当然、リビングや食堂などのセミパブリックな機能がくる。これらは山荘によくあるデッキで、自然と結びつけられている。デッキの存在で植生のイメージが後退しないよう、庭にむかうデッキや階段は、溝蓋用の亜鉛メッキのグレーチングを使用した。それはまさに空中にうかびあがるオブジェだ。
 この住宅は、コンクリートと木造の混構造でできている。地階から一階のアプローチ玄関にかけてのコンクリートは小叩き仕上げにしてやわらかさを演出している。なお、リビングの床は、給湯の床暖房を施し、イタリアンスタイルで仕上げた。このように、豊かな自然に恵れた街並は、ぜひ残したいものである。
山手町の家
兵庫県芦屋市 
専用住宅
RC+木造 地上2階+地下1階建て
建築面積 140.17u
延床面積 265.19u
新住宅(8706)/住宅建築(8705、8910)